■ TOA200 ― 発酵の町・湯浅から生まれた“葡萄の力を200%引き出す”ワインシリーズ
和歌山県湯浅町。味噌・醤油の発酵文化が千年以上にわたり育まれてきたこの土地で、私たち和歌山湯浅ワイナリーは「日本の風土を映すワイン」を軸にものづくりを続けてきました。
TOA200シリーズは、その取り組みの中で生まれた、和歌山湯浅ワイナリーの新たな象徴となるブランドです。
名前の「200」は、単なる数字ではありません。「葡萄の持つポテンシャルを200%引き出す」という強い決意を込めたものです。ブドウという素材に敬意を払い、最大限活かし切る。その思想をわかりやすく伝えるため、社名である「TOA」を冠して「TOA200」と名付けられました。
この名称は、開発初期から10回にわたるブランド設計会議の中で生まれたコンセプトであり、和歌山湯浅ワイナリーの未来像を示す言葉として採用されたものです
■「職人の感性 × 近代的な設備 × 安全思想」
TOA200の品質を支えているのは、“思想”だけではありません。醸造の中心を担うのは、約40年にわたりワインづくりに携わってきた醸造部長・西馬 功(にしうま いさお)。彼は機械に頼るのではなく、あくまで「最後の判断は人」が信条です。収穫期には必ず産地へ足を運び、ブドウの水分量、皮の張り、果梗の色、香りの立ち上がり方など、現場でしか得られない“生きた情報”を五感で確かめます。その上で「引き出せる味の到達点」を見極め、醸造設計が決まっていきます。
ヨーロッパ製の近代的な設備を採用しているのは、安定のためではなく、ポテンシャルの損失を防ぐためです。ステンレスタンクによる徹底した温度管理は香りや酸を守り、ブドウの持つ輪郭をそのままキープします。それを支える衛生レベルの高さがあるからこそ、火入れ・濾過といったワインの安全性も確かなものになります。日本ワインとして信頼される品質とは、この“経験 × 設備 × 安全思想”の三層構造によって成立しています。
■ 作り方の違いによる海・風・空
そしてTOA200では、このこだわりを**3つの「世界観」**として表現しています。それが「海」「風」「空」です。
これは単なる“味の違い”ではなく、葡萄の魅力のどこを軸に据えるかの違いです。
海 ― ピュアな果実のままに
発酵も熟成もステンレスタンクで行う「海」は、ブドウの持つみずみずしさと瑞々しい香りをストレートに届けます。樽のニュアンスを一切足さない分、果実そのものの輪郭が際立ちます。爽やかで飲みやすく、普段ワインを飲まない方にも自然と受け入れられる一本です。
「まずワインを好きになってほしい」―― そんな入口の役割を担う存在です。
風 ― 調和と余韻
「風」はステンレスタンクで発酵し、その後フレンチオーク樽で熟成させます。果実の清らかさに、木樽由来のやわらかな香りと落ち着きが重なり、口当たりに奥行きが生まれます。樽を主張しすぎない上品な設計で、食事に寄り添う“バランスの良い食中ワイン”として仕上がっています。
空 ― 重層感と記憶に残る時間
「空」は発酵も熟成もフレンチオーク樽。長い熟成の中で生まれる香りの複雑さと余韻は、まるで一枚の絵を眺めるように時間とともに表情を変えます。飲み手の集中を引き込み、一本のワインそのものが“主役”となる存在。ワインを深く愛する人のための特別なラインです。
■ 「葡萄」「職人」「土地」が三位一体
湯浅という土地が与える価値も重要です。
千年以上続く発酵文化の町には、「菌を恐れない」感覚ではなく、「菌と共にある」感性が根付いています。ワインづくりはまさに「発酵の芸術」。湯浅で醸すことそのものが、見えない土地の記憶と文化をボトルへと封じ込める行為でもあります。地域文化の継承と醸造技術の融合――それがTOA200のもうひとつの“核”です。
そして最後に、和歌山湯浅ワイナリーの姿勢として欠かせないのが「安心・安全」です。
近代的な醸造設備と経験豊富な人の手による管理を前提とし、濾過・火入れを施すことで、品質の再現性・安定性・安全性を保証しています。高い技術や美しい世界観だけではなく、ワインに求められる“信頼”を背骨に据えることが、私たちのものづくりの責任です。
TOA200は、単なる商品シリーズではありません。
それは「葡萄」「職人」「土地」が三位一体となった、湯浅ワイナリーの哲学そのものです。
葡萄のポテンシャルを“最高地点”まで押し上げる――その約束を数字で示し、造り手の姿勢をまっすぐに伝える。それが「TOA200」です。
海は入口となり、風は寄り添い、空は記憶となる。
この3つの世界観を通じて、和歌山湯浅という土地の奥行きと、わたしたちが目指す日本ワインの姿が、より多くの人の心へ届くことを願っています。